
- 創業の原点
はじまりは町の商店。初代川島勝蔵が地域のニーズを汲んで
日用品から嫁入り道具までを扱う店として身を立てました。
ときにはお大風呂敷いっぱいに品物を包んで行商に出ることも
あったといいます。
やがて町を代表する商店として規模を大きくしていく中で、
秀玉堂が地域の特産品であるめのうを扱うようになったのは
自然な流れでした。石の取扱いがはじまると店に工房を併設
し、住み込みの細工職人を呼び集め、めのう細工や勾玉、貴
金属に特化した店として形態を移します。
また戦時下においては、陸軍に物資を納める役割も担いました。
その御縁か、当時松江を訪れた乃木希典将軍から英国大使令
夫人に贈呈する青めのう石を依頼されるという誉れも経験して
います。
時代が移ればお客様の喜ぶお品も変わる。
だから、時代や状況に応じて扱う品物を選定する。
土地に根差した素材を見極め、価値を見出し、
商いとして届けること。他人様に喜んでいただくこと。
それが、原点から変わらず続く私たちの信条です。

- 広がっていった理由
- 変わらなかったこと
- 一五〇年という時間と現在
特産品であるめのうをはじめとする天然石に軸を置いた商いは、
やがて出雲大社を背景とする信仰文化に広がっていきます。
これは、神の依り代である勾玉発祥の地を深く理解しようとすれば、
当然のこととして辿り着いた結果でした。
素材を扱えば信仰に触れる。
山陰という土地そのものが、私たちの事業領域を広げてきたのです。
扱うお品が変わっても、一貫して守り続けたのは
「土地とともにある姿勢」でした。
地域の一員として地域の良質な素材を扱うことは、
私たちが代々感じてきた誇りです。
だからこそ、この土地固有の素材を丁寧に届けたい。
そのためには、それらを育む土地が経てきた時間と向き合うことが
不可欠です。この土地固有に育まれるものの意味を読み取り、
語るべき言葉を探す。
それは、私たちのものづくりにおいて譲ることのできない
大切な工程です。
明治拾年から続く秀玉堂の商い。
それはまぎれもなく、風土を未来につないでいく方法を
問い続けた結果です。土地の特性を解像度高く理解することに
努め、時代を読み、柔軟に価値の届け方を更新していく。
その姿勢は秀玉堂の基盤であると同時に、この先100年
変わることのない事実でもあります。
今私たちは、素材や信仰文化に関するプロダクトのみならず、
ライフスタイル及びライフスタンスとしてのトータル提案、
またそのためのデザイン設計と情報編集という新たな領域で
風土を扱うようになりました。
「土地」を体験・体感できるようなアプローチの仕方が、
この土地本来の意味を分かち合うことにつながると考えるからです。
祈りや信仰、技。目には見えないところに価値を見出すこの土地と
ともにあるからこそ、今の時代に語れるものがある。
我々はその誇りを胸に、
これからも風土と
向き合い続けます。